数年間に渡ってイエマは自社工房で内部委託により開発、製造されたキャリバーのコンポーネントを主に使用した自社製キャリバーの製造ラインの実現を嘱望し続けてきました。リサーチと開発には重要な沿革と実質的な投資が必要とされ、新しい機械の導入そして工房と製造ラインの拡張、近代化が執り行われました。
さかのぼる事2年前,イエマは著名なフランスの時計職人オリバー・モリーとパートナーシップを組み,自社製キャリバーの品質向上とほとんどのコンポーネントの移転を念頭に置いた新しいプロジェクトを立ち上げました。
これらの開発を進めていくうちに全てのコンポーネントはモルトーの工房でイエマの時計職人たちが製造し,調達機構はスイスのパートナーメーカーに委託するという流れが自然に生まれていきました。
キャリバーマニュファクチュール・モルトーCMM.20と名付けられたこの新しいマイクロ・ローターキャリバープロジェクトの誕生は時計職人の地位を守りつつより強固なマニュファクチュールの実現へ向けて第一歩を踏み出したことを意味します。
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マニファクチュール・グレード
アーキテクチャーとパフォーマンス
イエマの新しいキャリバーマニュファクチュール・モルトーCMM.20自社製キャリバーはオリバー・モリーにより開発された独自のデザインとより洗練されたコンポーネントで構成されています:
Tungsten winding mass
The micro-rotor’s oscillating winding mass is made of a high density tungsten alloy in order to achieve the purpose of counterweight for this small volume but high weight micro-component, allowing optimized winding and a power reserve of +60 hours.
Glucydur Balance wheel
The balance wheel is made of Glucydur, a non-magnetic, low-thermal-expansion metal alloy which offers high resistant to deformation, corrosion, magnetic fields as well as low coefficient of thermal expansion, most suitable for precision elements that need a lot of dimensional stability.
振動部品にタングステン合金を採用
マイクロ・ローターの振動部品には分銅としての役割に最適な非常に密度の高いタングステン合金を使用しており, 振動数の最適化と60時間以上のパワーリザーブの実現に成功しました。
Glucydur合金製のテンプ
テンプには非磁性,低熱膨張性質を持つGlucydur合金を使用しており高い耐変形性,耐腐食性,耐磁性,耐熱膨張性を提供いたします。この合金は高い寸法安定性が必要とされる高精度の製品に最も適しているとされています。
French-Swiss Precision
This new French Manufacture In-house Caliber with Swiss regulating organ will offer high performance with a maximum rate of -5 / +10 seconds.
ULTRA-THIN CALIBER
Due to its smart architecture resulting in a contained thickness of just 3.70 mm (26% thinner than an ETA 2824), this new caliber will equip much thinner cases.
フレンチースイス・グレードを誇る精度
スイス製調節機構を持つ,この新しいフレンチ・マニュファクチュール自社製キャリバーは最大誤差日差-5/+10秒の高いパフォーマンスを提供いたします。
超薄型のキャリバー
最新の技術を駆使して誕生した新しいキャリバーは厚さがわずか3.70mm(ETA2824と比較して26%薄型化)と従来のモデルと比べても非常に薄いケースの仕上がりとなっています。
オリバー・モリー
ウオッチメイカー・パートナー
オリバー・モリーは若干13歳にして時計職人を志しモルトーにあるエドガーフォーカレッジに入学しました。ここでパトリック オージュローとの運命の出会いがあったのです。当時パトリックはオーデマ・ピゲで重要なポストについており、その片手間にカレッジで非常勤講師として教鞭をとっていたのです。いち早くオリバーの才能を見出したパトリックはオリバーをオーデマ・ピゲに紹介し、機械式時計職人又製品部門技術者などのプロフェッショナルな職人としての第一歩を踏み出す足がかりを作ったのです。その後オリバーはディベロップメントマネージャーとしてセリタに移籍し、現在はリッチモンドグループでプロトタイピング及び新製品開発部門の責任者というポストについています。2016年、彼はフリーランスのウオッチメーカーとして独立を果たし、名だたるスイスブランドやフレンチブランドとのコラボレーションに携わっています。
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時計職人技の源
その卓越した職人技で知られるフランスのウオッチメイキングは長くその芸術性の高さを世界の人々に認知されてきました。その歴史を紐解くには600年以上の時をさかのぼることになります。しかしその職人技が現在のように広く世界に知れ渡ったのは18世紀、舞台はスイスからわずか数マイルに位置するジュラ山脈の麓フランシェーコンテ地方だったのです。
時計の製造はジュラ山脈に住む農夫たちにとって厳しい冬を生き抜くため必要不可欠かつ細心の注意を要する副業であったことが、その始まりでした。今日、時計製造の職人技はYEMAのようなフランシェーコンテに基盤を置く時計メーカーによって継承され、フランス、スイスの国境を越えて高い技術を持つエキスパートたちが互いの技術、意見を共用、交換しあいながら現在に至っているのです。
ジュラ山脈の麓に広がる松の森。人里離れた広大な谷間の中でひっそりと存在感を放つ小さな町モルトー(フランシェーコンテ地方)にYEMAの工房はあります。YEMAは3世代続く時計製造メーカーである家族によって経営され、職人歴平均30数年以上という少数精鋭のチームによって構成されています。モルトーを基盤とするYEMAを含むこの地域の時計職人たちは数世代に渡って時計製造に携わってきた先人達の伝統を今に引き継ぐ継承者たちなのです。
これらの歴史の背景には地理的な要素が少なからず影響をもたらせていたと言えるでしょう。フランスの時計メーカーYEMAが自社製キャリバーの製造に着手していったのはこう考えてみると自然な流れだったのです。
ダイナミックなウオッチメイキング・エコシステム
フランスとスイスのウオッチメイカーは国境を越えて専門知識を持つ技術者と才能ある人材を互いに享受しながら双方に相乗効果をもたらしているのです。毎日15000人のモルトーを基盤とする職人がスイスの工房へ働きに行く一方で3000人のスイス人の職人たちはモルトーとブサンソンに基盤を置くフランスメーカーの社員である事がこの事実を如実に物語っているのです。
YEMAは1200人以上の学生が学ぶエドガー・フォーカレッジとパートナーシップを結び、地域のウオッチメイキング・エコシステムに積極的に参加しています。30年以上に渡りYEMAのマスターウオッチメーカーであるジョンーポール・ボワローの監修のもと適切なインターンシッププログラムに則って毎年12人の見習い職人を世に送り出してきました。
フランスの学校は地域のウオッチメーキング・エコシステムの中で重要な役割を担っています。モルトーのエドガー・フォーカレッジの卒業生の大部分がスイスの工房で働き、スイスのウオッチメーキング・マネージャーの実に80パーセントはブサンソンにある国立高等精密機械大学院大学(通称:ENSMM)の卒業生なのです。
スイスで仕事をし経験を積んでから数年ののち、フランスに戻りYEMAのようなフランスメーカーに仕事を得る職人たちが少なくありません。今回、品質保証テクニカルマネージャーとして新しくYEMAのメンバーに加わったニコラス・バリーもその中の一人です。YEMAはまた新しいブランドの立ち上げも視野に入れ、地域での時計製造における啓蒙とさらなる発展を目標に、モルトータウンホールと提携を結び様々なプロジェクトに参加しています。